GMをする際の最初のハードルがシナリオ探しです。世の中には様々なシナリオがあるものの、好みのシナリオを探すのは簡単ではありません。
そこでおすすめなのが自作シナリオです。自作シナリオならば、自分の趣味を詰め込んで遊ぶことが出来ます。
「でも、自作シナリオって難しいんじゃない?」そんな風に思うかもしれませんが、基本さえおさえれば自作シナリオは誰でも可能です。
本記事では自作シナリオに興味のあるGMさんに向け、自作シナリオの特徴や作り方を解説していきます。
こんな方におすすめ
- 自作シナリオの特徴について知りたい方
- 自作シナリオに興味がある方
- 自作シナリオの作り方を知りたい方
公開シナリオについては、「無料のおすすめシナリオサイト」や「公開シナリオの読み方」も参考にしてください。
自作シナリオの作り方
ラブコメがやりたいんだけど、良さげなシナリオが見つからない。
なにかいい方法ないかな?
やりたいことがあるなら、自作してみたら?
基本さえ押さえれば難しくないよ。
自作シナリオの作り方
- やりたいことを決める
- 必要な要素を考える
- 起承転結を設定する
- アイデア出し、肉付け
- 細部をつめる
自作シナリオの特徴
シナリオ作りの前に、自作シナリオの特徴や公開シナリオとの違いを簡単に解説します。
長所 | 短所 | |
自作シナリオ | 好きなことが出来る PLがプレイ済の心配がない | 準備が大変 |
公開シナリオ | 準備が楽 リプレイなどで流れが把握が出来る | 有名シナリオは知っている人が多い 好みのシナリオ探しが大変 マイナーシステムは公開シナリオが少ない |
自作シナリオの最大のメリットは、自分の”好き”が出来ることです。自分の趣味を詰め込んで遊べるので、TRPGをより楽しむことが出来ます。
一方で、自作シナリオの最大のデメリットは時間です。自作シナリオの場合、アイデア出しからイベント作成・難易度調整まで全て自分で行います。
時にはアイデアが浮かばず行き詰まってしまうこともあります。内容にもよりますが、数日〜1週間程度は覚悟しておきましょう。
自作シナリオのメリット
- 自分の好きなことが出来る
- シナリオについて深く理解しているため、とっさの対応がしやすい
- 一緒に遊ぶ相手に合わせてシナリオを柔軟に変えられる
- 通過済みが無いので、誰でも参加してもらえる
自作シナリオのデメリット
- イベント作成や立ち絵・背景の準備など、準備することが多い
- バランス調整が難しい
- アイデアが浮かばないと、かなりの時間がかかる
公開シナリオについては、「無料のおすすめシナリオサイト」や「公開シナリオの読み方」も参考にしてください。
シナリオ作成① やりたいことを決める
シナリオ作成で、初めに考えるのがやりたいことです。
やりたいシステムでも良いですし、見たいシーン、漠然としたジャンル、使いたい敵や魔導書などなんでも構いません。
そのシナリオを通して、見たい景色や展開、やりたいロールプレイを考えてみてください。
私の場合は、小説やアニメのワンシーンからパクるインスピレーションを得ることも多いです。
シナリオ作成①:やりたいことを考える
やりたいこと
初心者向けのラブコメクトゥルフがやりたい
シナリオ作成② 必要な要素を考える
やりたいことが決まったら、システムやシーン、大まかなシナリオの流れなど、実際に必要な要素を考えていきます。
注意点として、システムはやりたいことに適したものを選びましょう。ド派手な戦闘がやりたいのにクトゥルフは不向きですし、ホラーがやりたいのにアリアンロッドRPGは向いていません。
やりたいことに適したシステムが分からないという方は「【ジャンル別】おすすめシステム紹介」も参考にしてください。
シナリオ作成②:必要な要素を考える
やりたいこと
初心者向けのラブコメクトゥルフ
システム
クトゥルフ神話TRPG
やりたいシーン
- シナリオ途中:ヒロインとのいちゃいちゃ
- エンド:ヒロインがPCに笑顔でお礼を言う
どんなシナリオにするか
- シナリオ途中でのいちゃいちゃ→ヒロインとのRPを重視
- エンドでヒロインがPCに向かって笑顔でお礼を言う←ヒロインの問題を解決
- 初心者向け→シンプルな内容、クローズド、ロールプレイが簡単
- ロールプレイが簡単(もしもの時はヒロインがサポート)→ヒロインはPCと一緒に行動
シナリオ作成③ 起承転結を設定する
やりたいことやシーンが決まったら、これらを実際のシナリオに落とし込んでいきます。TRPGには様々なシナリオがありますが、基本は起承転結です。
シナリオ作りにおける起承転結
- 起(シナリオの導入):PCが物語に参加する理由・目的付け
- 承(シナリオの道中):目的達成までの道のり
- 転(シナリオの山場):目的達成のための大一番
- 結(シナリオの結末):PCの行動の結果
起(シナリオの導入):PCが物語に参加する理由・目的付け
TRPGのシナリオで最も重要になのが”起”です。
”起”ではPCが物語へ参加する理由・目的付けを行います。理由や目的が納得できるかは、シナリオへの没入感に大きく影響します。
例えば、最近あなたの街で行方不明事件が起こっているとしても「怖いな〜」程度です。ですが、行方不明になったのが親友ならば、色々と調べようとする気持ちも湧くと思います。
”起”で大切なのは、PC・PLにシナリオ中の出来事を自分事だと意識させることです。
シナリオ作成③:起
起:目が覚めると知らない部屋
ヒロインとの出会い
おまけ:”起”の種類 受動型と能動型
”起”には大きく①受動型と②能動型の2種類があります。
受動型:イベントや周囲の働きかけにより物語に参加を強制されるタイプ
例:上からの命令や依頼、目が覚めたら知らない部屋にいた、魔物の襲撃など
能動型:キャラクター自身の気持ちや動機によって物語に自発的に参加するタイプ
例:最近親友の様子がおかしい、過去の事件の復讐、お宝探しなど
能動型は、PCが自発的にシナリオに関わるため、PCやPLのモチベーションが高くなりやすい特徴があります。ですが、導入が上手くいかないと、PCが参加する理由や目的が不明確になってしまいます。
初めてシナリオを作成する場合は、PCが物語に参加する理由や目的を簡単に設定できる受動型がおすすめです。
承(シナリオの道中):目的達成までの道のり
”承”では、”起”で設定した目標を達成するための道のりを描写します。
TRPGの場合、事件の背景やPCたちの状況の深堀りやその後の展開のための伏線の配置、中ボス戦などです。
シナリオ作成③:承
承:ヒロインと協力して部屋を出ることに
調査の過程で仲良くなる
ヒロインの悩みを知る
転(シナリオの山場):目的達成のための大一番
”転”はシナリオの山場です。
“起”や”承”で求めてきた目的を達成するための大一番であり、最も盛り上がるシーンです。TRPGでは謎解きやボス戦などです。
シナリオ作成③:転
転:ヒロインの悩みを解決
部屋から脱出
結(シナリオの結末):PCの行動の結果
”結”はシナリオの締めです。“転”の結果を踏まえて物語の結末を描写していきます。
ハッピーエンドにしろバットエンドにしろ、”結”はシナリオの印象を大きく決めます。描写は特に力を入れましょう。
シナリオ作成③:結
結:エピローグ
ヒロインの笑顔
シナリオ作成④ アイデア出し、肉付け
ここでは、これまで考えた「②必要な要素」や「③起承転結」をもとに、アイデアを出しシナリオに肉付けしていきます。
シナリオ作成④:アイデア出し、肉付け
起:目が覚めると知らない部屋に、周囲を見渡すときれいな女性が不思議そうな顔で見ていた。
話によると、女性には記憶がないとのこと。協力して外に出ることに。
承:協力して情報収集をしているなかで、色々なことを話す。
⇒話した内容がヒントになって、ヒロインがこの部屋に住んでいたと知る。
探索者を呼び出したのは女性自身であり、とある儀式のため呼び出したことを知る。
ヒロインが全てを思い出す。
転:ヒロインが思い出した時点での好感度で分岐
①ヒロインがPCを儀式の生贄にしようとする
→戦闘 勝利(エンド①)
敗北(エンド②)
②ヒロインがPCを犠牲にすることに戸惑う
儀式を破棄するための謎解き 成功(エンド③)
失敗(エンド④)
結:エピローグ
エンド①:気がついたら自宅の部屋に 夢オチエンド
エンド②:儀式の生贄に キャラロスト
エンド③:ヒロインとともに生還、ヒロインの笑顔 ハッピーエンド
エンド④:ヒロインとともに生贄に キャラロスト
アイデアが出ない場合は、一度シナリオから離れて好きなアニメや小説・おもしろかったセッションを思い出してみてください。
ふとしたところにもアイデアの原石は転がっています。
シナリオ作成⑤ 細部をつめる
最後にシナリオの細部を詰めていきます。
細部を詰める際のポイント
- 問題になりそうな箇所を洗い出し、対処法を考える
- 実際に仮想の戦闘を行って、バランスを調整する
- 事件の背景やNPCの行動原理など、シナリオの背景を深掘りする
問題になりそうな箇所の洗い出し・バランス調整
問題になりそうな箇所の洗い出しに役立つのが、実際に遊んでいる様子をイメージすることです。
「ここで〇〇の情報を出すとPC・PLはどう思うか」、「これが起きたらPCはどうするだろうか」を考え、事前に予想される問題を潰しておきましょう。
戦闘がある場合は、戦闘バランスの調整も行います。この時も、実際に仮想戦闘で試してみるのがおすすめです。
シナリオ背景の深掘り
問題点の洗い出し・バランス調整と並行で行いたいのが、シナリオ背景の深堀りです。
事件の背景やNPCの行動原理などを考えておくことで、シナリオに深みや一貫性が出ます。加えて、物語の基礎がしっかりしていれば、想定していないPLの行動にも対応しやすくなります。
これら①〜⑤を通してシナリオが完成となります。
完成したラブコメクトゥルフはこちら(準備中)
シナリオ作成後に確認すべきこと
ここまでシナリオの作り方について解説してきました。
さっそく遊んでみたいところですが、実際に遊ぶ前に一点確認してみてください。
そのシナリオは参加者全員が楽しめる内容でしょうか?
自作シナリオでは、好きなことが出来ます。ですが、好きにやっていいという意味ではありません。
TRPGは一緒に遊んでくれる仲間がいなければ成り立ちません。改めて、参加者全員が楽しめる内容か確認しましょう。
自作シナリオの見直しポイント
- 主役はPCと意識する
- 詰みポイントはつくらない
- PLが納得できるか考える
主役はPCと意識する
シナリオを作り込むと、作り込んだシナリオ背景やNPCを披露したくなるものです。ですが、過度な説明やNPCの活躍は、PCの時間や出番を奪うことに繋がります。
あくまでも主役はPCです。シナリオがPC以外のための物語になっていないか注意しましょう。
詰みポイントはつくらない
判定や情報の出し方にも注意する必要があります。
PCの判定は失敗するものです。全ての判定が成功する前提では、必ずどこかで詰みます。ある程度の失敗は許容できるように設定しましょう。
詰みポイントを作らないために
- 数回判定に失敗しても、他が成功すれば答えにたどり着けるようにする
- 大切な情報は、必ず獲得できるように工夫をする
- 判定無しでわかるようにする
- 複数箇所で獲得できるようにする
- 判定を何度も挑戦可能にする
- 仲間との協力やPCの工夫次第で、成功率にボーナスを与える
プレイヤーが納得できるか考える
シナリオやGM対する不信感は、PLのモチベーションにも影響します。
重要なのはPLに理不尽感を与えないことです。結果ではなく過程を重視するように意識しましょう。
×悪い例
「街を歩いていたら馬車が突っ込んできた。1ダメージです。」
〇良い例
「街を歩いていたら馬車が突っ込んできた。回避振ってください。」
⇒成功:「ギリギリ反応した。あわや大事故だが軽いケガですんだ。1ダメージです。」
失敗:「避けようとしたものの、あと一歩間に合わなかった。1ダメージです。」
まとめ
本記事では、自作シナリオに興味のあるGMさんに向け、自作シナリオの特徴や作り方を解説してきました。初めは難しいと思うかもしれませんが、基本さえおさえれば自作シナリオは誰でも可能です。
自作シナリオの作り方
- やりたいことを決める
- 必要な要素を考える
- 起承転結を設定する
- アイデア出し、肉付け
- 細部をつめる
本記事で、少しでも自作シナリオに興味を持ってくださった方は、ぜひ一度挑戦してみてください。きっと、あなたにしか作れないあなただけのシナリオに出会えるはずです。
後はそれを公開してくれるとTRPG界隈も活気づいて嬉しい。
「おすすめシナリオサイト」はこちら
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